坂東流の活動
2025年12月7日(日)「芸の伝承 第11回ビデオ上映会」が開催されました
芸の伝承第 11 回『大黒舞』『関の扉』のご報告
令和7年12月7日(日)浅草公会堂第一集会室で53名のご参加をいただき、第11回芸の伝承ビデオ上映会が開催されました。
今回は『常磐津 大黒舞』『常磐津 関の扉』とどちらも坂東流に残る貴重な演目二題です。
『大黒舞』は 2006(平成 18)年、日本舞踊協会公演として国立劇場で上演され、立方は坂東 寛二郎、利太郎、鼓登治のお三方。大黒舞は江戸時代天保の頃に浅草奥山で一座を構えてい た三人組の芸で、しゃべりの合間にちょいちょい踊りを入れたのが大評判。それを見た四代目中村歌右衛門が三代目桜田治助に頼んで曲を作り、風俗舞踊にしたてたそうです。途中に洒落で「永木の三津五郎さんが狐に化けてね」とライバルの大和屋を台詞にしたのもご愛敬。今では坂東流にのみ残る演目となりました。
演じられた利太郎先生のお話によると、ご指導は三津弥先生、台詞が多いのも大変ですが、アドリブを入れるのもご苦労をなさったとのこと。三人の掛け合い、唄へのつなぎがとても自然で楽しそうに感じられますが、そこに至るまでは大変なお稽古がおありだったかと思います。
『関の扉』は舞踊会で上演されるときはたいてい下の巻、大伴黒主と墨染の二人立ちで上演されますが、今回拝見したビデオは三津緒、寿子、勝友の先生方が上・下通しで演じられた 1985(昭和60年)扇の会、国立劇場小劇場での上演。上下通しで拝見すると下の巻の大伴黒主の野心と桜の木の精の恨みもとてもよくわかります。勝友先生から「九代目家元から『関の扉』を上下でやらないか」とお話しがあったときは御冗談かと思われたこと。女性の体力では 難しい演目であり衣裳もとても重く、下の巻に入るころにはとても疲れてしまわれたこと (上下含めての上演時間は休みなしで1時間半を超えます)。そして次の世代に伝えていきたい熱意を語ってくださいました。
今回の上映は歌舞伎座での舞台を拝見しているような気持ちとなる二演目となりました。ご出演された先生方にお稽古の様子を聞かせていただいていても坂東流が歌舞伎にとても近いお流儀であることを実感します。先生方のお舞台を拝見することはとても有難く貴重なお勉強ではありますが、次の世代につなぐためには私たちの世代がお勉強をしていくこともまた重要なことかと思います。
今回の上映会にご参加の皆様より頂戴しました貴重なご感想をご紹介させていただきます。ご一読下さいませ(PDF)
次回の第12回ビデオ上映会は、令和8年4月頃に開催する予定をしております。詳細は決まり次第ホームページにてお知らせをいたします。一門でお稽古をしていらっしゃるお弟子さんは名取でなくとも参加可能、お洋服でお気軽にいらしていただける会ですので、是非ご参加下さい。お待ちしております。
(企画部)

